先月、ジュニア考古学講座で「弥生の秘密基地をつくろう!」を行いました。
その様子については、すでに紹介しましたが、今回は秘密基地としてつくった簡単竪穴住居について少し詳しく紹介したいと思います。
竪穴住居は地面に大きな穴を掘って、その上に屋根を取り付けた構造をしており、弥生時代の人々が生活していたと考えられています。むきばんだ史跡公園では、骨格のみのものを含めると12棟の竪穴住居を復元しています。屋根の材料にはカヤ(ススキ)を使い、葺き方は逆葺きを採用しています。
復元竪穴住居
逆葺きは、カヤの穂先を外側に向けて葺いていくもので、一般的なかやぶき屋根の葺き方(真葺き。カヤの茎の部分を外側に向けます。)とは異なります。材料が少なく簡単に葺ける方法であり、古い技術であった可能性があります。なかなか目にすることはないのですが、簡単な小屋などで見かけることがあるかもしれません。
カヤの葺き方の違い(逆葺き)
カヤの葺き方の違い(真葺き)
さて、今回の簡単竪穴住居は、竹を使って骨組みをつくり、その骨組みに苫(とま)を結び付けてつくるようにしました。苫って聞きなれない言葉ですが、ワラをロープにくくり付けていき、シート状に編んでいくものです。
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苫の歴史は古く、天智天皇(626-671)の詠んだとされる歌「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」にも出てきます。百人一首でも出てくる有名な歌なので皆さんもご存じかもしれません。この苫を使った逆葺き屋根については、兵庫県三田市のウド小屋にも用いられているそうで、その構法について論文が出されています(釜床美也子2017「苫を用いた逆葺きの藁葺き屋根の構法−三田市のウド小屋−」日本建築学会技術報告集 第23巻 第55号)。
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骨組みは、まず3本の竹(1本の長さ約2m。)を束ねて三角錐をつくります。つぎに別の竹を40~60㎝の間隔で横方向に三角錐にした竹へ結んでいきます。ただし、入り口となる部分は開けておきます。これで骨組みは完成です。
完成した骨組み
つづいて苫を結び付けていきます。
苫の編み方については、まずロープのねじりの逆方向へ回し、隙間をつくり、一握り(直径3~5㎝。)の稲わらの束をその中へ通します。次の稲わらの束(束の大きさは揃えるときれいに出来上がります。)を用意し、最初の稲わらの束の隣に置きます。最初の稲わらの束から数本のわらを取り、次の稲わら束の上を通過させ、下方からロープへ巻き付けていきます。これを繰り返していきます。最後、わらとロープを結び完成させます。
苫(とま)の編み方
完成した苫(とま)
こうしてできた苫のシートを横方向の竹へ下の段から順に結び付けていきます。苫のくくり付ける部分はロープのところで、そこに紐をつかって竹に結び付けていきます。苫が上の段まで達したら完成です。
一段目を取り付けた様子
完成した簡単竪穴住居
材料集めは難しいですが、簡単にできるのでチャレンジしてみてください。苫の代わりに笹の葉を使って逆葺きしても良いかも。